国立西洋美術館の感想ー静物画と宗教画についてー

木曜日に国立西洋美術館に行ってきました。キャンパスメンバーズという制度を利用すると対象の大学関係者は無料で常設展に入れるのでありがたいです。今回は国立西洋美術館の感想を書きます。

 

館内に入って最初に見たのは宗教画と静物画でした。この二つが一番のお気に入りでした。静物画の良いところは見ると頭がすっきりするところです。静物画はキャンバス内で完結していて、それより外の世界がないように感じました。描かれているテーブルや上の物がどこに置かれているのかイメージできなかったのです。そのため、余計なことを考えずに絵を楽しめるので頭がすっきりするように思えたのでしょう。

宗教画は東洋との違いが如実に表れていて面白いと思いました。特に聖母マリアや天使の目を見るとその違いがはっきりしていました。以前、鎌倉の覚園寺の仏像を近くで見たのですが、その時、仏像の目を見て超人的な慈悲というものを覚えました。あの目を描いた人はいったいどのような感性を養ったのだろうと感心しました。私にはできない。一方で西洋の宗教画は良くも悪くも人間的でした。キリストを失う運命を嘆いて泣く聖母マリアの絵も、祈りをささげる人のもとに来た天使の絵も精緻で素晴らしかったです。しかし、どうしても人間的なのです。東洋的な価値観の人間のためどうしても違和感を感じてしまった。聖母マリアの目も天使の目も作者の人間的な感情が現れているように感じました。そこが仏像とは違っているのです。やはり仏像の目を見ている方が私は落ち着きます。